そらに描いた物語
H19年11月26日〜。個人の趣味による二次創作メインの小説(+お題)サイトです。各原作者様・出版社様・企業様とは全く関係ありません。同人要素を含んでおりますのでご注意ください。
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ネズミ視点
「ネズミ」
名前を呼ぶ声が部屋に響いてゆっくりとしみこむように消える。
紫苑の声はいつもどこか優しい。ゆるく響き、じんわりと耳になじむ。心地よい子ネズミたちが朗読をせがむのもだからだろう。
いつもなら黙っていると名前を読んだ後に言葉が続くか、じれたように再度名前を呼ぶのに
「ネズミ」
紫苑はさっきと変わらない声音で名を呼ぶ。ただそれだけだったけれど
「・・・・ったく、どうかしたのか」
本を閉じ視線をめぐらせた。ベッドの上で枕を抱いている紫苑と目が合う。
美しい紫の瞳が真っ直ぐの見つめてくる。俺の感情を読み取ろうとしているわけでもなく、ただ見つめられる。
目線を逸らそうとしないのはいつものことでも、こんなときの紫苑は正直よく分からない。いつもあれだけわかりやすいのに、ひどく掴みにくい。
「ネズミ」
視線を絡ませたまま、繰り返し名前を呼ぶだけの紫苑に痺れをきらし、ネズミがベッドに近づく。
すると、紫苑の手が伸びてきて抱きしめられた。柔らかで性急な抱擁。そのままバランスを崩し二人ともベッドに倒れこむ。
「紫苑、あんた何がしたいんだ」
続くかも
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