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そらに描いた物語
H19年11月26日〜。個人の趣味による二次創作メインの小説(+お題)サイトです。各原作者様・出版社様・企業様とは全く関係ありません。同人要素を含んでおりますのでご注意ください。
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神田が部屋へ入ると視界に膨らんだ布団が飛び込んできた。掛け布団の端から僅かに白い髪が覗く。
自分の意志とは関係なく何度か見る羽目になった光景。否が応でも慣れてくる。
「勝手に入るなって言ってんだろうが」
「知りませんよ、そんなの」
普段よりも幾分か低い声が布団の中から返ってきた。生意気な台詞だが微妙に呂律が怪しい。そして明らかな鼻声。
「モヤシ」
「モヤシって誰のことですか」
その口調にいつもの鋭さはなく、後にくぐもった咳が続く。出てくる気は欠片もないようで、山がごそごそと動く。
それを見た神田は布団に手を掛け一気に引き剥がした。
「なにすんですか!」
睨みつけてくるアレンを一瞥し、鼻であしらう。
「ここは俺の部屋だ。俺が自分のもんをどうしようとてめぇがなんか言えるのか」
苛立ったアレンが口を開く。
しかし、その言葉よりも早く伸ばされた神田の手がアレンの額にあてられた。そこから伝わるひんやりとした温度が心地よい。
「やっぱり熱あんじゃねぇか」
神田の予想外の行動にアレンの頭の中は真っ白になった。
「風邪引きは自分の部屋で大人しく寝てろ。体調管理も仕事の中だろうが」
「だって、」
言うつもりなんて欠片もなかった言葉に慌てて口を押さえる。今僕は何と続けようとしたんだろう。
アレンは呆然としながら、神田に甘えそうになった自分に気付かないふりをする。
その様子を眺めていた神田はいきなり額を掴んでいた手に力を込め、アレンを布団に転がした。
「寝ろ」
上から命令が降ってくる。
睨むように見上げると神田は苦みを噛み潰したような顔で溜め息を付いた。それでも、向けられる眼差しがいつもの鋭い視線ではなく、少し柔らかく暖かいようなものであることに苛立ちが薄れる。
本当は頭が朦朧としていて、話すのも辛い。有り得ない状況だがありがたく甘受させてもらう。
「おやすみなさい」
吐息で呟いたアレンはそのまま眠気に身を任せ目を閉じた。
 

 
風邪引きアレンさん

微妙に不完全燃焼。
でも関係は結構好きな感じに書けた。

title by 26度の体温
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